この「私にとっての『ネイティブ表現』」は、「ネイティブ英語」とは、あなたが従わなければならない規範ではなく、あなたがこれから発見していく未知の宝の山なのだという認識に立って、私自身が発見して面白いと思った「ネイティブ表現」をご紹介するシリーズです。私は外国人であるが故に、ネイティブが使う英語表現に敏感です。ネイティブの話を聞いていて自分の知らなかった表現に出会い、「へえ、こんな言い方をするんだ。面白いな。」、「へえ、こんな表現があるんだ。これは便利だな。」などと思うことが度々あります。そのようにして発見した表現が、私にとっての「ネイティブ英語」・「ネイティブ表現」なのです。そして、そうやって自分が発見した「ネイティブ英語」を引き出しにしまっておくことは、間違いなく自分の表現の幅を広げてくれるのです。
How do you like New York?
ニューヨークでは、Japan Local Government Centerの所長という立場上、実に多くのReceptionに参加しました。そういう場で、自分は日本から来たと言うと、自分の街が外国人にどう思われているか知りたいのは世界共通のようで、数えきれないほど何回も「How do you like New York?(ニューヨークはどうですか?)」という実に漠然とした質問を受けたものです。余りに何度も聞かれるので、私の答えも徐々に定型化してきて、概ね次のように答えるようにしていました。
As I have been living in Tokyo for more than 50 years, I don’t find great difference between New York and Tokyo. Both has skyscrapers, subways, huge cloud and traffic jam.
(私は50年以上東京で暮らしてきたので、ニューヨークと東京に大きな違いは感じませんね。どちらも高層ビルがあって、地下鉄があって、人混みがあって、渋滞があります。)
日本のことを良く知らない方なら、こう言えば「それはそうですよね、あはは…」で話は終わるのですが、日本を良く知っていて、特に東京に来たことがある方の場合、まあ、面白いくらい判で押したように、こういう反応が返ってきます。
But, subways are quite different, aren’t they?
(でも、地下鉄は違いますよね?)
ここで、「That’s right!」とか「Yes. I agree.」などと答えると、自分の経験した東京の地下鉄のすばらしさをひとしきり語った上、「それに引きかえニューヨークの地下鉄は…」と、地下鉄に対する不平不満を次から次へと並べていく、という風に話が展開します。私も、自分で経験して正直ニューヨークの地下鉄は困ったものだと思いましたが、ニューヨーカーにとって地下鉄の悪口は、いつでも誰とでも盛り上がれる最強のネタになっているようです。
それはそれとして、この「How do you like …」、聞かれた方はちょっと戸惑うかもしれませんが、会話を続かせる便利なアイテムなので、機会があったら是非使ってみてください。「「How do you like this shop?(このお店どう?)」、「How do you like your new job?(今度の仕事はどう?)」みたいな感じで。
感謝のいろいろ
ニューヨークでは、何しろ「政府系機関の所長」でしたから、自分の事務所の行事の時はもちろん、来賓待遇で呼ばれた先で「一言あいさつ」を求められることも多く、本当に何度も人前で話す機会がありました。主催者あいさつや来賓あいさつ程度のものは、Speechではなく、Remarkと呼ばれます。Speechというと、もっと本格的な、長くて内容のあるものを指しますし、更に重要なものはAdressと呼ばれます。で、そのRemarkを始めるに当たっては謝辞から入るのが良くある方法で、ありふれてはいるけど違和感なく聞いてもらえるので、私も概ねそのやり方を採用していました。
で、その感謝ですが、Thank youでも悪くはないものの、Remarkとしてはちょっと軽い感じなので、私は次のような言い方をすることが多かったように思います。
First, let me express my deep gratitude to all who gave us this great opportunity. (まず、我々にこの貴重な機会を与えてくださった全ての関係者の方に、感謝の意を表します。)
このgratitudeをappreciationにすることもありました。英語の感謝表現の主だったものは、このThank、Gratitude、Appreciationの3系列になります。いずれもこの形で名詞として「感謝」を表すほか、Thankはご存知のように動詞としても使えますし、Thankfulと言う形で形容詞としても使えます。Gratitude系にもGratefulという形容詞があり、Thank youの代わりに
I am so grateful/thankful to you!
などと言えると表現の幅が広がります。
Appreciation系の形容詞はあったとしてもめったに使いませんが、動詞として「I appreciate it.」と言う形で感謝を伝えられます。「I appreciate you」のように人を目的語にしては使わないので、文脈としては次のように使われることになります。
It’s very kind of you to tell me about that.
(あの事を教えてくれるなんて、あなたすごく親切ね。)
No, not at all.
(いや、どうってことないよ。)
I really appreciate it.
(本当にありがとう。)
なお、Gratitude系にもgratifyという動詞があるのですが、これは「感謝させる」と言う意味になるので、使うとすれば「I’m gratified」という風に受動態になるのでしょうが、使われているのを見たことがありません。
英語に限らずヨーロッパ言語では、同じ単語を何度も繰り返し使うのは、上等な表現ではないという発想があるので、こういう言い換えができるとちょっと一目置かれることになります。是非お試しください。
この後も何回かに渡って、私にとっての「ネイティブ表現」をシリーズで掲載しますので、お読みいただければ幸いです。

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